昔の医者は、根拠を説明せずに黙って診断し、治療をしていました。効果の説明や、名前さえ教えず薬を処方していました。患者さんはそれをありがたがっていたのです。こうしたやり方をパターナリズム:paternalism (温情主義、家父長主義)といいます。今はこうした説明不十分な医療は許されません。症状や検査データにより、「あなたの病気は --- である」と説明し、治療法についても、いくつかの選択肢を示して、患者さんが[納得して同意した治療法を選んで決定]するインフォームド・チョイス(informed choice)が現在の潮流です。「自分は説明されても分からない、理解するのは面倒なので、医者のいうままでいい」ではいけません。当院では、簡単な疾患でも、インフォームド・コンセント、インフォームド・チョイスを実践しております。

 自分の疾患や症状、治療法などについて納得がいかなければ別の医者の意見を聞くことをお勧めします。特に、手術法などについては、学会でも意見がまとまっていない領域があります。患者さんは、一人の医者の言うことをうのみにせず、他の都道府県、さらに外国の病院を受診する自由があります。当院では、分かる範囲で、より希望に沿う医者のいる病院を紹介いたします。ただし、自分を善意で熱心に診てくれている現在の主治医の心を傷つけない心遣いをエチケットとして持つことは必要です。
*米国AHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality)のホームページ(http://www.ahrq.gov/consumer/surgery/surgery.htm)では手術を受ける場合、医者に12の質問をするように勧めています。

1. どんな手術を勧めるのか?
2. なぜ手術が必要か?
3. 代替療法は無いか?
4. 得られる恩恵は?
5. 危険は?
6. 手術を受けないとどうなるか?
7. どこで第2の意見を聞けるか?
8. 勧める医者の経験は?
9. どこで手術をされるのか?
10. どんな麻酔が必要か?
11. 回復までどれくらいかかるか?
12. 費用は?
  
  などです。米国ではセカンドオピニョンの問い合わせ場所が公表されていますが、日本ではまだありません。その他:基本的事項ですが、外科医が資格(認定医、専門医、指導医、など)を持っているか尋ねることも勧めています。


  
一般的に、外科医は新しい話題の手術を経験したがる習性があります。また、それも、必要なことであり、いつまでも古い手術しかしない医者ばかりでは進歩がなく困ります。心臓外科では、患者さんの犠牲の上で外科医の技術が磨かれ、上手な医者が誕生するのも事実です。

インフォームド コンセントに準拠。
2. セカンドオピニョン( 2番目の意見 )をいつでも紹介します。

診療基本方針